月の船
運河クルーズで通る小名木川は、松尾芭蕉ゆかりの場所です。クルーズガイドでも俳句をネタにしています。
俳句の基本とは、五・七・五のリズムと季語の制約だけではなく、「切れ」という要素が加わると俳人の黛まどかさんは述べています。たとえば「古池や」で始まる芭蕉の句は、「や」という一字で切ることにより、まず私たちに「古池」という普遍的情景を提示している、といいます。次を比較してください。「古池に蛙飛びこむ水の音」・「古池や蛙飛びこむ水の音」なんとなく、一字の違いによる「切れ」の差が理解できると思います。
さてタイトルの「月の船」は、角川春樹氏の「遥かなる旅 銀林に月の船」から取りました。
七・七・五という変則リズムながら「遥かなる旅」と、すぱんと言い切った、まぎれもない俳句の宇宙観が感じられる一句と思います。ここに提示された壮大な旅に私もかかわりました。それはコロンブスの乗ったサンタマリア号をバルセロナで二年がかりで復元し、神戸まで九ヶ月という大西洋・太平洋連続横断の大航海でした。
角川氏が隊長・私は甲板長として、この帆船に乗り組んだのです。写真は、スペイン政府から記念にいただいたサ号の銀製模型です。
皆様も、ぜひジールの船で航海気分を味わい、一句したためてください。ちなみに「銀林」とは天の川のこと。クルーズでも、ごらんになれます。byO船長
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