英国海洋文学のヒューマニズム
前ブログで、作家・作品名の3番目が欠落していました。三島由紀夫『潮騒』です。失礼しました。
さて、海洋小説の本家といえば、やはりイギリスでしょう。『ホーンブロアーシリーズ』や『ラミジ艦長物語』など、帆船同士の戦いを描いた長編物が、日本の書店にも、ズラリと並べられています。その中で、珍しく、戦わない帆船=逃げる帆船をテーマにした一冊があります。ジャックヒギンズの『脱出航路』です。舞台は(帆船時代ではなく)第二次世界大戦初期。ブラジルに住むドイツ人達が、連合軍の進攻の前に、なんとか祖国に戻ろうと、ポンコツの帆船を中立国の船に偽装し、複数の女性も連れて大西洋を横断という物語です。敵艦・敵機、そして嵐との遭遇など苦難の航海のクライマックスは、海洋国家の小説らしく、ドイツ人とイギリス人・敵味方を越えた人間ドラマが転回されます。写真は、物語に登場するのと同じタイプの3本マスト・バーカンチン型帆船のクルー用パーカーで、実は私がイギリス帆船の甲板長をしていたときに使っていた物です。『脱出航路』ハヤカワ文庫本の表紙カバーにもこの絵が使われています。
さあ、皆様も、ジールの船に乗り、日常生活から脱出しましょう。けして小説のような苦難はありませんからご安心ください。
by甲板長&解説員O
| 固定リンク
コメント
わーすーれーたーなー
さっき見ました
潮騒は海洋小説というより恋愛小説ですねえ
むしろ三島は本格的な海洋小説は書けなかった様です体験入隊は陸自でしたしね
午後の曳行
も題名は船っぽいけど、オカルトっぽい話だし
投稿: 橋を渡ってくる男 | 2014年2月20日 (木) 15:19